暑い季節になるとレンタルビデオ店ではホラー特集が組まれたり、テレビ番組では心霊関係のホラー番組が多くみられるようになる。

やはりホラーは涼しくなっていい、背筋が冷えるので冷房もクーラーじゃなくて扇風機で事足りるようになる。

というわけで、地球にも優しい(かもしれない)ホラー漫画を紹介したい。

紹介するのは中山昌亮の『不安の種』と『不安の種+』である。

不安の種を植え付けられる超絶ホラー漫画

そもそもホラー漫画というのは結構貴重な漫画である。

よく語られる怖い話だとかはオチが怖いことが多いわけであってそれを漫画として表現しようとすると短編集ということになる。

『ホラーっぽい雰囲気の漫画』というのは少なくないが『ホラーに焦点を当てた漫画』が少ないのはなんとなくご理解いただけるのではないだろうか。

『不安の種』及び『不安の種+』は本当に恐怖にパラメーターを全振りしたような漫画なのでホラーが苦手な人は注意して欲しい。

興味がある方は画像検索だけでもしてみて欲しい、痺れるはずだ。

さて、こちらの『不安の種』だが簡単に言うと何気ない日常に潜む恐怖の短編集である。

登場人物達が普段通り何気ない日常を過ごしていると理不尽にも襲い掛かる、

またはただそこにある恐怖という点で多くのエピソードが共通しているが、まずはその理不尽さに恐怖を覚える。

しかも、なんだか不安になってくる。そういった類の恐怖の煽り方である。

そして怖い話に付きものなのが『得体のしれない者』である。

時には幽霊だったり、妖怪だったりとするわけだが、そんなクリーチャー的なもののデザインが秀逸である。

どう秀逸かと言うと生理的に怖いのだ。

よく心霊写真などで見かけられる「人の顔が写ってるから怖い」とかそんなのじゃなく、人っぽいもの(時には何かわからない)のデザインがただただ、怖いのだ。

タイトルに不安の種とある通り、実にこちらに不安の種を芽生えさせてくれるデザインだ。

各エピソードの最後に(もちろん漫画のエピソードのため架空の話ではあるのだが)そのエピソードの舞台となった場所や時期が明記されるのである。

それがまた少し各エピソードにリアリティを生み出してまたゾクッとさせてくれる。

この作品の有名なフレーズに「場所は伏す」というものがあるが、それもまた怖さを煽ってくる。

なんだか、「これは実際にあったことなんじゃないか……?」「今もどこかで……?」という風に思えてくる。

そしてほとんどのエピソードは未解決で終わる。

俗にいう投げっぱなしというわけだが、良い悪いは別として、その後どうなったのかは読者の想像に任せる。

というこの形式は良い具合に恐怖を刺激してくれる。

夏になって怪談などを読んだり聞いたりしての納涼代わりにぜひともお供として欲しい漫画ということで紹介した。

だが、本当に怖いので夜中に思い出して、寝れなくなったという苦情は寄せないようご注意いただきたい。