Month1月 2016

壊れた日常を人々はどう生きるのか、ヒーローになりたい人へ

私はパニック映画が苦手である。具体的に言うとゾンビが出てくる例のアレである。そのゲームもかなり苦手だ。

その理由はいきなり飛び出てびっくりするからである。(そこが楽しいのでは?)

そういうわけで今回紹介したいのはゾンビがでてくる『アイアムアヒーロー』(花沢健吾)だ。

リアルでしかもめちゃくちゃ怖いパニック漫画

主人公・鈴木秀雄は元漫画家で現在はアシスタントをしながらなんとか生活しているさえない青年。

人間関係も仕事もうまくいかず、夜になれば誰かが忍び寄ってくるような妄想に囚われて眠れない夜を過ごしていた。

一方で世間で増えていく噛みつき事件、不穏な空気は彼の生活の元にまでやってきていた。というものである。

序盤で少し不安感を煽るような日常を描いてそれぞれのキャラをきちんと見せておきながらの、その日常のゆっくりとした崩壊。

その日常を徐々に崩壊していく様の描き方はとても鮮明である。

さらに主人公は特に特筆できることのない、平凡な人間。

多くの作品での『主人公』というのはその物語を進めるにあたってリーダーシップに溢れているとか、明確な意志を持っていたりするわけであるが、

この作品の主人公・鈴木秀雄はまさに平凡で、人に頼りっぱなしで、多くの人間の代表みたいな感じで人間臭さに溢れている。

そこに決して浅くない現実的なリアリティを感じる。

そしてゾンビ達の出現によりパニックになる人々。

確かに日本でこんな事件が起きてもあんまり誰も騒いだりしないんだろうなぁ。と思わせられた。

恐怖を煽るリアルな描写に加え、描写方法がかなり多彩。

その高い画力からの恐怖を煽る数多くの演出は本当に絶望感を出していて作品にいい具合に不穏な雰囲気を醸し出させている。

魅せ方がとんでもなく上手いし怖いので、見開きを開く時に少し身構える。

何と言っても生々しいリアルさがすごいのでグロテスク表現が苦手な人は注意が必要かもしれないほどだ。

そこが注目して欲しいポイントでもあるのだが……。

さらに全く先の見えない展開でドキドキさせられる。

ゾンビパニック物と言えばやはり外国ではお盛んである。

そしてそういう作品の主人公と言えば突如やってきた非日常も持ち前のポジティブさで目的を作って、集団を作ったりしてやり切る。

それも王道的で面白いのだが、この作品は主人公が上で書いた通り平凡である上にネガティブ思考である。

そのため、先が全く見えないのである。

とにかく逃げて、その先はどうしよう。という手探り感。

確かにこんなことが起きたらこの先どうするかなんて明確に決められる人間はいないと思うが……。

この作品の主人公は非常にダメ人間っぽく描かれているので本当に先が読めずにはらはらする。

そんな人間臭さやこの異様にリアリティのあるけれど、おかしくなってしまった非日常な世界観に惹かれること間違いない作品だ。

最強の格闘技とは何か?男のロマンを詰め込んだ作品

近頃の地上波のテレビでは格闘技などあまり見なくなりましたね。

もう大晦日でK-1を見るくらいでしょうか、昔はもっとボクシングの試合や総合格闘技などやっていたと思うのですが。

実際に格闘技をやっていなくても見ているとその熱気にロマンを感じざるを得ませんよね。

そういった欲を満たしてくれる格闘漫画は多いですが今回紹介したいのが木多康昭の『喧嘩商売』そして続編にあたる『喧嘩稼業』です。

この作品ともなっているフレーズが最高にかっこいい

この漫画で各エピソードの冒頭部分で多く使われるフレーズがあるのですが、まずそれを紹介させていただきます。。

「最強の格闘技は何か!?多種ある格闘技がルール無しで戦った時…スポーツではなく目突き金的ありの『喧嘩』で戦った時最強の格闘技は何か!?今現在 最強の格闘技は決まってない」

このフレーズはこの漫画のメインテーマにもなっているのですが、冒頭のエピソードと相まってめちゃくちゃかっこいいです。

喧嘩商売の作品構成と簡単なあらすじなのですが、

この作品はメインのシリアスな格闘パートと木多節溢れる中々ドぎついギャグパートによって構成されています。

そのギャグパートは過激な下ネタやパロディ、作者本人の身近な人物の暴露ネタ……などなかなかぶっ飛んでいます。

なかなか突き抜けているだけに読者を選ぶ内容です。

苦手な人は苦手かもしれないし、シリアスパートのちょうどいい辺りでギャグパートをぶっこんでくるので間延びするじゃないか、なんて声もよく聞きますね。

私はギャグパートも好きですが、もしギャグが合わないなぁと感じてもとにかく本編は読んでほしいのです。

さて、本編及びこの作品は主人公である佐藤十兵衛が格闘技を極める話なのですが、

それと共に最強の格闘技は何か?をテーマに様々なボクサー、柔道家、プロレスラー、合気道、相撲などなど

格闘家達がルール無しの『喧嘩』をしたのならば何が最強なのか、という物語であります。

そしてそんな最強を目指す登場人物が個性的すぎるのです。

まず主人公の佐藤十兵衛ですが、正々堂々なんて言葉はありません、主人公ですが間違いなく悪人。

頭の回転が早くて、性格も悪いのですがどこか憎めない、そんなキャラクターです。

彼は喧嘩をする際には必ず策を用いて闘うのですが、その闘い方がとても面白い。

時には主人公らしからぬ卑怯な手も使いますが、そこはまさしく『喧嘩』で勝つためならばなんでもありを地でいきます。

この漫画の格闘部分の多くを心理的な駆け引きや知能戦が占めているのですが、そこが単純な力比べなどを避けていて読んでいて感心します。

そしてその相手となる登場人物達もまた、暴露話なんてするような毒のある(良い意味でですよ)作者のためかそれぞれ個性的で魅力的です。

痛みを快感に変え殴られると興奮するボクサー、石橋強

勝つためならどんな汚い手も使う柔道家、金田保

ビルから落ちても耐える耐久性と最強の握力を持つ、工藤優作

などなど個性と毒と魅力に溢れるキャラクターが多く登場します。

またこの作品の作風の大きな特徴は写実的な絵柄とデジタル化。そのために大胆なコマ割りと相まって躍動感がすごいです。

その躍動感溢れる格闘シーンは迫力がダイナミックに伝わってきます。

写実的でいてそれでいてとても動きのある絵とこのあとどうなるんだろうという喧嘩の駆け引き。

魅力溢れる絵柄、登場人物、テーマ!面白くないわけがないです。

絶望系漫画の原点にして至高。絶対に読んでほしい

今回紹介する漫画のタイトルは永井豪、『デビルマン』である。

この作品のタイトルを聞いて知らない人はほとんどいないだろう。

アニメの人気などは凄まじいものだったし、最近実写映画化されている。(この映画についてはおすすめはしない)

さて、テレビアニメ版デビルマンのストーリーと言えばどのような話が思い浮かぶだろうか。

主人公『不動明』がダークヒーロー『デビルマン』として変身し人間界を滅ぼそうとする悪い悪魔達を倒す勧善懲悪もの……そんな印象ではないだろうか。

しかし、漫画『デビルマン』はアニメとは全く違うホラー要素の強いストーリーとなっている。

長く語り継がれる『名作』にして『原点』

絶望系と評して語られることの多い作品は多くあるが、この『デビルマン』がなければその作品たちの多くは世に生まれなかったことだろう。

それほどまでに『デビルマン』は多くの漫画や作品に影響を与えたし、ショッキングなものだった。

私がこの作品を読んだのは割と最近のことだが、子ども時代に読まなくて良かったと思った。

この作品をおすすめするが、小さい子どもには少し刺激が強すぎるかもしれないので注意してほしい。

それほどまでにこの『デビルマン』は衝撃的に『人間の物語』を描いている。

作中に見えるエログロさとリアルさもこの作品の大事な要素だ。

『デビルマン』はとてもバイオレンスなシーンが多い。とは言っても漫画でデフォルメされているので極めて不快だというわけではない。

さて、物語中盤において人々は悪魔(作中ではデーモンと呼ばれる)達を恐れるがあまりデーモン狩りを決行する。

これは中世において行われた魔女狩りととても類似しており、モチーフにもなったのだろう。

それはまぁいい、とにかくここの描写がとんでもなくリアルなのだ。

人間が人間をデーモンと疑い、残酷にも疑わしい者を処刑する。

人々を駆り立てる狂気が恐怖としてこちらに伝わってくる。

そして、そのデーモン狩りの結末として『デビルマン』を読んだ多くの人々にトラウマを植え付けたシーンに繋がる。

その問題シーンの見開きを見たときに私は無意識に「えっ」と声が出た。

この作品の肝は壮大な物語の原点とも言うべき濃密なストーリーである。

上で挙げたようにグロテスクなシーンが多いのは事実ではあるが、主人公・不動明や対立する飛鳥了などの観点から優しさや弱い者達の視点が集約されている。

全5巻という短い巻数にまとめられたこの作品は確かに私の心を撃った。

昨今の漫画に見受けられる商業的な意味での引き伸ばしのために入れられるような無駄なストーリーは一切ない。

全5巻からなる『デビルマン』には読後本当に自分は5巻しか読んでいないのか?と思わせるような濃密な物語があった。

今読むと古さを感じるような描写も見受けられるが、それでも色褪せない名作とはこの作品のようなことを言うのだろう。

物語上の表現方法が読者を選ぶかもしれないが、それでもこの今なお多くの漫画に影響を与え続けるこの名作をぜひ読んでほしい。

なんだこの絵は!?その構成力は脱帽の一言『暗殺教室』の前作品

つい最近『暗殺教室』が映画化されて反響を呼んでいたが皆さんはご覧になっただろうか。

『殺せんせー』の見た目が衝撃的(しかも簡素)なので広告などで目にしたことがある人は頭の片隅に残っていると思う。

今回紹介したい漫画は『暗殺教室』で話題の作者・松井優征の『魔人探偵脳噛ネウロ』である。

犯人の顔芸を始めとした独特の絵と物語がすごい

この作品は探偵と名のついているものの推理物の皮を被った単純娯楽漫画と作者が記述しているように、推理に重きは置かれていない。

代わりに犯人を暴き出す理不尽的すぎる特殊な能力であるとか、暴かれた後の犯人の反応に大きな特徴がある。

強烈な個性となんだかちょっとわかるような、いややっぱりわからないような美学を振りかざす作中の犯罪者達には驚かずにはいられない。

また、それが面白くもあるのだ。

一方で絵が雑だとよく言われているが、読み進めるうちにむしろだんだんと癖になってくる絵柄である。

正直に言うと私も絵が最初受け付けなかった。

雑、というか「なんだこれは」そんな感じだったのだが「絵柄など内容の面白さに関係ない」という大事な事に気付かせてくれた作品だった。

そしてもう一度言うが読んでいくと味が出てくる(はず)なので、絵で敬遠はしないでいただきたい。

その独創的で絵画的とも言える絵のおかげでこの作品の雰囲気が出てきているので、良いアクセントだと私は思うようになった。

もっとも背景などを見ると画力はあることはわかるのだが。

単純な物語の内容の面白さで勝負している作品である。

計算され尽くした物語の構成が本当に素晴らしいのだ。

この作品の面白さは、ブラック感溢れるパロディや、所々に挟まれるギャグなどの小ネタにもあるのだが、なんと言っても全体的な物語が面白い。

犯罪者達が犯す殺人事件などの推理はあまり読者にはさせてくれないものの、物語自体を進める細かな伏線が各エピソードに散りばめられている。

それが繋がっていく様には感動すら覚えるほどである。

ここまで練り上げられた完璧なストーリーは本当に珍しいと思う。

薄く引き伸ばされることもなく、詰めすぎて駆け足になることもなく本当に丁度いい塩梅である。

少年漫画は大抵引き伸ばされたり打ち切られたり、とするものだがこの作品は終わるべきところできちんと終わらせることができた数少ない少年漫画かもしれない。

全てのピースがあるべきところに収まるパズルのように緻密に計算されたストーリーは終盤へ向かうほどに加速していく。

そして少年漫画的王道を行く熱い展開などもきちんと抑えていて熱くなれる。

キャラクターの魅力は言わずもがな、主要キャラから上で書いた通り犯罪者達まで個性的で魅力的である。

この作品はぜひとも全巻を通して読んでいただきたい。

読み終えた時に清々しい気持ちを味わえるほどに筋の通ったストーリーとなっていて、本当に味わい深い作品である。

いつでも今日が、一番楽しい日でおなじみの素晴らしい日常作品

いつでも今日が、一番楽しい日でおなじみの素晴らしい日常漫画(よつばと)

いつもいつも難しかったり堅苦しい漫画を読んでいると疲れたりもする。

そんな時にはほのぼのとして、でもどこか独特で、元気よく面白い、そんな漫画が読みたくなる。

『よつばと』(あずまきよひこ)はそんなまさしく雰囲気の作品である。

なにもない、がある日常風景を伸び伸びと描く日常漫画

『よつばと』は表情豊かで元気いっぱいの子どもらしい子ども、「よつば」とその「とーちゃん」と周りの人々の日常を描いた作品である。

よつばは何気ない日常の中にあるふとした新たな発見に目を輝かせる。

そして周りの登場人物もそんなよつばに色々なことを教えたり、一緒になって楽しもうとする。

この作品に登場する人物はみなうらやましいくらいに楽しそうである。

まさにキャッチコピーの通り『いつでも今日が、一番楽しい日』な作品だと思う。

登場人物達の楽しげな雰囲気は、この作品をとても明るくしている。

そして独特な子どもの感性の豊かさを本当に上手く出していて、子どもらしい動きも細かいコマ割りなどで表現されている。

それは作者拘りの『間』や『空気』を生み出していて、それが非常に面白い。

何気ない平凡なことを違う視点から見ることで面白くしたまさに究極の日常系漫画である。

なんと言ってもネガティブな要素が何もないことが良い。

山あり谷ありじゃなきゃ面白くない!という人はいるかもしれないが、私はそんなことはないと思う。

何か大きな事件が起きて、その解決に奔走している間になんやかんや。物語というのは、大抵がそう言ったものである。

たまにはなんの事件も起きず、ただただゆったりとした雰囲気が流れている物語がたまにはあってもいいはずである。

そこでは誰もが楽しそうにしていて、何か暗い気持ちになる出来事なんて起こらない、平凡だけれど幸せだ。

そんな生活の中で登場人物達が何を思うのか、よつばが何を感じたのかということを繊細に描いている。

そしてよつばの変わった言い回しだったり、他の登場人物の反応に思わずクスりとさせられる。

作中の雰囲気がなんともほのぼのしているのが癒されポイントである。

平凡故にリアリティがある日常風景なのだが、どこか絵本を読んでいるような気にさせられる、不思議な雰囲気もこの作品の魅力である。

ここまでほのぼのとさせられる作品は他にないんじゃないだろうか。

とーちゃんのよつばに対する普段は割といい加減だけれど、ちゃんとケジメのついた教えだとか。

周りの大人達も子ども相手だから子どもの目線になって接しているけれど、たまに少しいじわるするだとか。

よつばがどこで覚えてきたのかわからない言葉を使って得意げになるだとか。

色々な細かな点にも不思議な雰囲気が合わさって、清涼感のある面白さを感じる。

ただふわふわと流れていく日常の雰囲気がとても愛おしい漫画である。

この独特な雰囲気、世界観はなんとも説明が難しいが、読んでみてもらうとすぐに感じ取れると思う。

そして、この雰囲気はとても癒される、疲れていて癒されたい時なんかにも。

男女共に万人にこの作品をおすすめしたい。

日本の戦国時代を数寄という斬新な切り口から見た作品

日本の歴史と言えば戦国時代が有名である。

数々の名武将達の活躍や生き様が様々な作品として世に出ていることは何も今に始まったことではない。

戦乱の時代の様子、その知略を持って敵を攻め落とす、といったそんな合戦の様子をありありと描いては多くのメディアを通じて姿を変え、趣向を変え、

今でも多くの作品が戦国時代の様子を伝えている。

歴史とは大変面白いものである。そんな歴史の面白さを少し今までとは違った角度から示した歴史漫画を紹介したい。

それが講談社刊『モーニング』にて現在連載中である山田芳裕の『へうげもの』だ。

君は物のために死ねるか?物の価値を描く

『へうげもの』の舞台は戦国時代、かの有名な織田信長や豊臣秀吉に仕えた戦国武将・古田織部を主人公としている。

連載時のあらすじでは「これは『出世』と『物』、2つの【欲】の間で日々葛藤と悶絶を繰り返す戦国武将【古田織部】の物語である」と紹介される。

そう、この『へうげもの』では茶道、茶器、美術といった『美』や『数寄』といったものに焦点があてられている。

それらを視点の中心として見た作者の時代の解釈や武将達の生き様などをわかりやすく、また時にはおもしろおかしく描いているのだ。

多くのこの戦国時代をテーマにした作品では『武』の強さを強調して描かれることが多い。

そのことを踏まえると『へうげもの』は少し特異な作品であると言える。

戦国時代の動乱の中、『美』を追い求める数寄者達は『美』を扱う文化・芸術について武人同様、命を懸けて望む様がありありと描かれている。

戦国時代は戦だけではないと言わんばかりに文化に目を向けた作品なのである。

「君は物のために死ねるか?」このフレーズは『へうげもの』の作中第一話のタイトルである。

このタイトルに私は心が響いた。

私には残念ながら美的感覚というのはないに等しい。

芸術的なセンスなんてないイモ野郎であるため、どんな物よりは自分の命の方が大切である。

しかしながら、この漫画の中の登場人物達とこの作品で描かれている時代背景からなる「物」の価値をたった一文で示すこのフレーズは実に的を得ている。

武人であるにも関わらず生粋の数寄者である主人公・古田織部は様々な場面で葛藤する。

その生き様に苦悩し悩む、それはもう悩む。時には少し卑しいような、そんな考えも企てる。

それでもとても人間味溢れ描かれている。

そしてそれは主人公・古田織部だけではなく、多くの登場人物はみなそれぞれの崇高な価値観を持っている。

だからこそ魅力的に映える。

織田信長など有名な武将は多くの作品で姿を変え、性格なども変わるがこの作品ほど格好のいい織田信長は見たことがなかった。

コミカルであり、また時には重厚感のあるシリアスな表現は純粋に胸を打つ。

歴史漫画ということで堅苦しいイメージや手を出しても理解できないのでは、ということを思う人がいるかもしれない。

しかし、そんなことはなく基本的にはコミカルで、わかりやすい。

とても理解しやすく、自然に頭に入ってくる。

また歴史に教養がある人でも史実に沿って、そしてまた多く語られる新説などを創作としてうまく盛り込んでいるので楽しめることは間違いない。


簡単に借りれるカードローン、でも返済は長い道のり…しっかり完済出来たら、アナタも一人前!
(参考記事→http://ninnkinacardloan.com/repayment2/

これぞ王道少年物!感動必須の妖怪漫画といえば?

日本では日本古来のものとして多くの妖怪にまつわる作品が産み出されてきた。

今回紹介したいのは、おどろおどろしい妖怪たちと王道的少年漫画。

それゆえに非常に熱く、感動させられ、心をくすぐられる『うしおととら』(藤田和日郎)を紹介したい。

この作者が描く少年漫画は熱いものが多い『からくりサーカス』や『月光条例』もぜひ手に取っていただきたい。

冒険に次ぐ冒険!これぞ少年漫画だ!

やはり少年漫画と言えば冒険すべきである。

そして立ち向かってくる敵を倒し、さらに冒険を続けるべきである。

この『うしおととら』はまさしくそんな冒険劇である。

最近はなぜか敬遠されがちな気もする王道的展開というのはなかなかどうして面白い。

やはり、面白いからこそ昔から多くの作品で展開が似て、それが王道と呼ばれる様になったわけで、理屈抜きで面白いのだ。

そしてそのなかの話には時には泣けるような話もあれば熱い話もある。

いろいろな妖怪達との出会いや闘いなどが描かれるのだが、全てが必要な話だったと思わされるような終盤は必見である。

とにかくスケールもでかければ、主人公達も格好いい!読み応えある漫画である。

こういった少年漫画と言えばやはり悪役は重要である。

最終的に倒すべき敵が序盤や中盤から明確化して、そのボスを倒すために主人公達が奔走するわけである。

その物語の終着点とも言えるボスがなんとも弱そうだったり、かっこよくなかったりすると読者としてはテンションが下がるわけである。

やはり絶望感が漂っていないとお話としても読者としても盛り上がらないわけである。

その点、この作品のラスボス感は怖すぎである。しかも勝てる気がしない。

ここまで邪悪そうな悪役もなかなか見ないぐらいで、読者に圧倒的な絶望感をお届けしてくれる。

少年漫画だが妖怪というホラーテーマなためか割と凄惨なシーンも出てくるわけだが、それがまたこの作品に少しダークさを落としていて良い。

登場する妖怪もみなそれぞれにコワさがあってこれまた良い。

そしてストーリーの構成なのだが、本当に終盤に全てを持って行かれる。

物語が終盤に差し掛かり、さあいよいよ。というような雰囲気になってきた時の物語の盛り上がり方は本当に圧巻の一言。

熱い!本当に熱い。とんでもない熱量と気迫を感じる。

今までに散りばめられていた伏線があれよあれよと回収され、加速する様には心を鷲掴みにされる。

そして目頭が熱くなる感動的なシーンも多い。大人になっても間違いなくグッとくるはず。

本当にこの物語の終わりに差し掛かった時、その熱さと深さに感動すること間違いなしだ。

今は寂しいことにこういった王道的で、そして良い意味で暑苦しい漫画は少なくなってしまったように思う。

ぜひ多くの人に全巻を通して読んでみてもらいたいし、今の少年達にも読んでもらいたい作品である。

救いのないダークファンタジーの世界へようこそ

時折、とんでもなく胸糞の悪くなる作品を読みたくなるのは私だけだろうか。

もちろん基本的には物語はハッピーエンドであることが望ましいと思う人の方が多いだろう、私もそう思う。

それはハッピーエンドのほうがスカッとするし、読み終えた後に気分も良くなるからだ。

けれど甘い甘い幸せな話ばかりを目にしているとたまには刺激も欲しくなるものである。

そこでおすすめしたいのが三浦建太郎の『ベルセルク』だ。

まさにダークファンタジーの金字塔

中世ヨーロッパをモチーフとした剣と魔法の世界。つまりファンタジー作品である。

ファンタジーと言ってもダークファンタジーで、身長を超えるほどの鉄板のような剣を持つ剣士ガッツの復讐の旅を描く物語である。

緻密に書き込まれた重厚感のある人物から背景に至るまでの描写や登場キャラクターの感情面を上手く表現している点が凄まじい。

主人公であるガッツの感情表現はその画力、ダークっぷりを持って読んでいて気圧されるほど。

そしてこの作品、なんと1989年からの連載という長期連載作であり、今なお根強い人気を誇っている。

2002年には第6回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞も受賞しており、その人気の高さが伺える。

簡単なあらすじ紹介が以下である。

この物語はガッツがタイトルにもあるように狂戦士の如く『使徒』と呼ばれる怪物と戦いを繰り広げるところから始まる。

そして、その理由としてガッツの生い立ちから仲間達との出会い、そしてなぜ復讐の旅に出ることになったのかを描く黄金時代編が3巻から描かれる。

ここからしばらくガッツが入団した傭兵団の仲間達との生活が描かれており、ガッツの成長や、周りを取り巻くグリフィスを始めとしたかけがえのない仲間たちを得たことを描かれている。

そして、ある事件が起き、ガッツが復讐の旅の時系列が戻るのだが……。

圧倒的な重厚感と圧倒的な絶望感がこの作品を語る上でよく話題になる部分である。

その圧倒的な画力が高く評価される『ベルセルク』であるが、その画力で描かれる戦闘の描写はすさまじい迫力だ。

これだけでもぜひ読んでみて欲しいくらいだ。きっと続きが読みたくなる熱がそこにある。

そして上のあらすじ紹介少し書いたが黄金時代編が本当に面白い。

王道的ではあるものの、主人公が段々打ち解けていく感も相まってとても面白い。

そうなるに至るまでの過程の表現も上手ければ、そこに登場する多くの人物の細部に至るまでの描き込みっぷりにはすごいの一言。

そしてダークファンタジーならではの絶望感。

しかし、その描き込みっぷりがすごすぎることで一部ネットなどでは作者の過労が心配されている。

未だに完結しておらず、完結するのかもファンから心配されており、かくいう私もその一人である。

上げてから落とす。などといったダークファンタジーの醍醐味をありありと魅せてくれるダークファンタジーの金字塔とも言える『ベルセルク』

ぜひとも今からでも読んでほしい。

読み終えたなら多くのファン達と気長に続きを待とう。

かわいい!そして美味しそう!創意工夫を凝らした料理漫画

料理漫画と言えばいろいろありますし、そのどれもが本当においしそうに描かれますよね。

グルメ漫画というジャンルを確立させたことで有名な『美味しんぼ』

記憶に新しいところですと映画になり大人気の『深夜食堂』やドラマ化してこれまた大人気な『孤独なグルメ』『花のズボラ飯』などなど。

本当に数多くの料理漫画があり、その数だけもちろん膨大なレシピも生み出されましたね。

でもなんだかんだ難しそうだったり「これ家で簡単にできるのか?」みたいなのも少なくないです。やはり、読んでると作って食べてみたくなりますよね。

そこで今回紹介したいのが『くーねるまるた』高尾じんぐによるグルメ漫画です。

“もったいない”っていい響き

さてこの『くーねるまるた』なのですがメインコンセプトが食事にあまりお金をかけないことなのです。

ということで紹介された料理レシピを実際に私もいくつか作れました。美味しかったです。

この漫画は全体的に質素なのだけれど楽しそうな雰囲気です。

料理人が一生懸命料理のどうこうを言う漫画ではなくふんわり日常物で、料理人ではなく一般人が料理を作ります。

そしてお金がないから手間をかけて美味しいものを、さらにその手間を楽しむ様子はとても楽しげでこの漫画の面白さの一つでしょう。

時には食べ終えた夏みかんの皮をマーマーレードにしたり、カニは高くて手を出せないからザリガニを釣ったり、スキンケアのローズウォーターを作ったり……と。

様々なエピソードに知恵が盛り込まれています。

『くーねるまるた』の主人公はタイトルの通りマルタというポルトガルからきた女性。

この漫画をおすすめしたい点として、主人公のマルタがとてもかわいらしいこと、これやっぱり結構重要です。

日本に留学に来たけれど日本が気に入ってしまい、そのまま日本に留まって過ごす物語なのです。

マルタにはお金がないしボロボロのアパートで貧乏生活を送るわけなのですが、貧乏を苦にせずとても明るい生活を送っています。

そのマルタの楽しそうな日々が読んでいるこちらを元気にしてくれます。

マルタがポルトガル出身ということもあり向こうの料理もよく出てきます。

そして出てくる料理のほとんどは家庭的な料理ばかりと、とても優しい漫画です。

作中ではその料理の元となったり、ゆかりの地になっている文学作品が多く紹介されます。

それは絵本だったり小説だったりと、多くの魅力的な本達の内容を登場人物の心情を含めて描かれているのですが。

それがとてもとても素敵なのです。

この作品を読むと私は無性に図書館へ行きたくなります。そして紹介された絵本が読みたくなります。

実際に読んで久々に図書館に行った人もきっと少なくないはずです。

グルメ漫画なのですが料理がでてこない回もあります。

美味しそうに食べるマルタがかわいく描かれているのでそれがないと寂しくもあるのですが、

それもまた食べ物の話だけでなく他の登場人物達と和気あいあいと楽しそうな日常で、和むお話になっています。

落ち込んでいる時なんかにこの『くーねるまるた』おすすめです。

三国志よりも面白い時代!?あなたは春秋戦国時代を知っているか

中国の歴史で面白い、とよく言われるのが魏・呉・蜀の三国時代の歴史の話である『三国志』が思い浮かぶと思う。

三国志は多くの作品を生んだし、漫画化もされている。読んだことのある人も多いだろう。

三国志は知っているし、歴史漫画が好きだという人はもう読んだこともあるかもしれないが、まだ手に取っていないならばぜひこの記事で紹介する作品を読んでみてほしい。

今回紹介したい作品はその三国志よりも前の時代である春秋戦国時代をモチーフにした『キングダム』(原泰久)だ。

キングダムは2006年から連載をスタートし、今なお連載中で、私が続きを一番待ち望んでいると言ってもいい作品だ。

この物語の概要は中国の春秋戦国時代を背景に大将軍を目指す少年、信と後に始皇帝となる政を中心とした動乱の世界を描いている。

熱い!暑い!作品の全てが熱い!

なんといっても物語を通して伝わる熱さが凄まじい、とにかく迫力がすごい。

史記を基に脚色したと言えど歴史漫画、という言い方をすると堅く聞こえてしまいがちだがそんなことは全く感じさせない。

実際に歴史上で起きた事件やその最中をバランス良く脚色し描いているのだが、この作品はとにかく凄まじい迫力がある。

そして登場人物達の魅力にも注目したい。

もちろん戦国時代であるために出てくる登場人物はみな筋骨隆々のむさ苦しいおっさんばかりである。

だが、戦乱を生き抜く将軍達の生き様や、それぞれ持っている美学がとにかくカッコイイのだ。

これほどまでにカッコイイおっさん達を描いている作品は他にないのではないだろうか。

三国志などでは武将の名前をよく聞くし、逸話などもいくつか覚えているが、春秋時代はというと武将の名前など読み始めは誰一人知らなかった。

読み終わってから私はすぐにそれぞれの武将のことを調べていた、それほどに登場人物が魅力的に描かれているのだ。

おっさんの話ばっかりじゃねーか、という人も安心して欲しい。

かわいらしいヒロインもちゃんと登場する。

物語の雰囲気を壊さないようにうまく絡んでくるのだが、そのバランスもちょうどいい。

息が詰まるような物語に少し華を添えるような感じだ。主人公と今後どうなるのか気になるところでもある。

そしてその登場人物達をひっくるめた勢力争い、政治的な駆け引きなどもこれまた熱く、面白い。

そんな将軍達を相手に少年である信は立ち向かっていくわけなのであるが、最近の作品に見られるような小柄な少年少女が大柄の男をばったばったとなぎ倒す……というコンセプトではこの作品はもちろんない。

最初は大将軍の夢を持って小さな隊の隊長から、そして段々と大きな隊の将として成り上がっていく、夢へと向かい着実に主人公達が成長していく様には心が躍る。

友情・努力・勝利をここまで熱く、美しく描いている作品はないだろう。

歴史という大きなストーリーをバックに展開される物語にはそのスケールに見合うだけの熱量を持っている。

上でも述べた通り、歴史漫画特有の堅苦しさは一切ない。

この作品を読み終わった頃にはきっと胸が熱くなることだろう。

copyright © recommended-cartoon-20.com