日本の歴史と言えば戦国時代が有名である。

数々の名武将達の活躍や生き様が様々な作品として世に出ていることは何も今に始まったことではない。

戦乱の時代の様子、その知略を持って敵を攻め落とす、といったそんな合戦の様子をありありと描いては多くのメディアを通じて姿を変え、趣向を変え、

今でも多くの作品が戦国時代の様子を伝えている。

歴史とは大変面白いものである。そんな歴史の面白さを少し今までとは違った角度から示した歴史漫画を紹介したい。

それが講談社刊『モーニング』にて現在連載中である山田芳裕の『へうげもの』だ。

君は物のために死ねるか?物の価値を描く

『へうげもの』の舞台は戦国時代、かの有名な織田信長や豊臣秀吉に仕えた戦国武将・古田織部を主人公としている。

連載時のあらすじでは「これは『出世』と『物』、2つの【欲】の間で日々葛藤と悶絶を繰り返す戦国武将【古田織部】の物語である」と紹介される。

そう、この『へうげもの』では茶道、茶器、美術といった『美』や『数寄』といったものに焦点があてられている。

それらを視点の中心として見た作者の時代の解釈や武将達の生き様などをわかりやすく、また時にはおもしろおかしく描いているのだ。

多くのこの戦国時代をテーマにした作品では『武』の強さを強調して描かれることが多い。

そのことを踏まえると『へうげもの』は少し特異な作品であると言える。

戦国時代の動乱の中、『美』を追い求める数寄者達は『美』を扱う文化・芸術について武人同様、命を懸けて望む様がありありと描かれている。

戦国時代は戦だけではないと言わんばかりに文化に目を向けた作品なのである。

「君は物のために死ねるか?」このフレーズは『へうげもの』の作中第一話のタイトルである。

このタイトルに私は心が響いた。

私には残念ながら美的感覚というのはないに等しい。

芸術的なセンスなんてないイモ野郎であるため、どんな物よりは自分の命の方が大切である。

しかしながら、この漫画の中の登場人物達とこの作品で描かれている時代背景からなる「物」の価値をたった一文で示すこのフレーズは実に的を得ている。

武人であるにも関わらず生粋の数寄者である主人公・古田織部は様々な場面で葛藤する。

その生き様に苦悩し悩む、それはもう悩む。時には少し卑しいような、そんな考えも企てる。

それでもとても人間味溢れ描かれている。

そしてそれは主人公・古田織部だけではなく、多くの登場人物はみなそれぞれの崇高な価値観を持っている。

だからこそ魅力的に映える。

織田信長など有名な武将は多くの作品で姿を変え、性格なども変わるがこの作品ほど格好のいい織田信長は見たことがなかった。

コミカルであり、また時には重厚感のあるシリアスな表現は純粋に胸を打つ。

歴史漫画ということで堅苦しいイメージや手を出しても理解できないのでは、ということを思う人がいるかもしれない。

しかし、そんなことはなく基本的にはコミカルで、わかりやすい。

とても理解しやすく、自然に頭に入ってくる。

また歴史に教養がある人でも史実に沿って、そしてまた多く語られる新説などを創作としてうまく盛り込んでいるので楽しめることは間違いない。


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