近頃の地上波のテレビでは格闘技などあまり見なくなりましたね。
もう大晦日でK-1を見るくらいでしょうか、昔はもっとボクシングの試合や総合格闘技などやっていたと思うのですが。
実際に格闘技をやっていなくても見ているとその熱気にロマンを感じざるを得ませんよね。
そういった欲を満たしてくれる格闘漫画は多いですが今回紹介したいのが木多康昭の『喧嘩商売』そして続編にあたる『喧嘩稼業』です。
この作品ともなっているフレーズが最高にかっこいい
この漫画で各エピソードの冒頭部分で多く使われるフレーズがあるのですが、まずそれを紹介させていただきます。。
「最強の格闘技は何か!?多種ある格闘技がルール無しで戦った時…スポーツではなく目突き金的ありの『喧嘩』で戦った時最強の格闘技は何か!?今現在 最強の格闘技は決まってない」
このフレーズはこの漫画のメインテーマにもなっているのですが、冒頭のエピソードと相まってめちゃくちゃかっこいいです。
喧嘩商売の作品構成と簡単なあらすじなのですが、
この作品はメインのシリアスな格闘パートと木多節溢れる中々ドぎついギャグパートによって構成されています。
そのギャグパートは過激な下ネタやパロディ、作者本人の身近な人物の暴露ネタ……などなかなかぶっ飛んでいます。
なかなか突き抜けているだけに読者を選ぶ内容です。
苦手な人は苦手かもしれないし、シリアスパートのちょうどいい辺りでギャグパートをぶっこんでくるので間延びするじゃないか、なんて声もよく聞きますね。
私はギャグパートも好きですが、もしギャグが合わないなぁと感じてもとにかく本編は読んでほしいのです。
さて、本編及びこの作品は主人公である佐藤十兵衛が格闘技を極める話なのですが、
それと共に最強の格闘技は何か?をテーマに様々なボクサー、柔道家、プロレスラー、合気道、相撲などなど
格闘家達がルール無しの『喧嘩』をしたのならば何が最強なのか、という物語であります。
そしてそんな最強を目指す登場人物が個性的すぎるのです。
まず主人公の佐藤十兵衛ですが、正々堂々なんて言葉はありません、主人公ですが間違いなく悪人。
頭の回転が早くて、性格も悪いのですがどこか憎めない、そんなキャラクターです。
彼は喧嘩をする際には必ず策を用いて闘うのですが、その闘い方がとても面白い。
時には主人公らしからぬ卑怯な手も使いますが、そこはまさしく『喧嘩』で勝つためならばなんでもありを地でいきます。
この漫画の格闘部分の多くを心理的な駆け引きや知能戦が占めているのですが、そこが単純な力比べなどを避けていて読んでいて感心します。
そしてその相手となる登場人物達もまた、暴露話なんてするような毒のある(良い意味でですよ)作者のためかそれぞれ個性的で魅力的です。
勝つためならどんな汚い手も使う柔道家、金田保
ビルから落ちても耐える耐久性と最強の握力を持つ、工藤優作
などなど個性と毒と魅力に溢れるキャラクターが多く登場します。
またこの作品の作風の大きな特徴は写実的な絵柄とデジタル化。そのために大胆なコマ割りと相まって躍動感がすごいです。
その躍動感溢れる格闘シーンは迫力がダイナミックに伝わってきます。
写実的でいてそれでいてとても動きのある絵とこのあとどうなるんだろうという喧嘩の駆け引き。
魅力溢れる絵柄、登場人物、テーマ!面白くないわけがないです。